

広島キャンパス 竹本 憲二郎さん
やわらかな日差しがそそぐこの頃、春の訪れを感じます。
本日は、私たちのために盛大な卒業式を挙行してくださり、先生をはじめ、在校生・保護者の皆様、ご来賓の方々に、心より感謝申し上げます。そして何より、この度一緒に卒業する同級生の皆さんへ、一番の感謝を送ります。
私がこの第一学院に入学したのは1年生の夏休みでした。持病が悪化し、やむなく転校をしてきました。勉強も手につかず、これからに希望を見いだせない中、第一学院での高校生活が始まりました。そんな不安がやわらいだのは、思っていたよりもすぐでした。初めて出た授業でグループワークをした時、班の全員が声をたくさん掛けてくれました。私は感動し、その光景を今でも鮮明に覚えています。一人で抱えて悩んでいた私は、その声かけだけで救われました。しかし、私の病気は治る兆しを見せず、1週間学校に行けないことがありました。家で動けず、嫌になって布団を被って塞ぎ込んでいました。すると、先生からの電話や友達から、「お大事に」「早く治して遊ぼうや!」と、メッセージがたくさんきました。泣きながら返事をしたのを覚えています。その一つ一つの連絡は、病気になったときに下向きになってしまう心を頑張って治そうと思わせてくれました。そんな病気は、今ではほぼ発症しないまでに治りました。これは、励ましてくれた皆さんと一緒に治した結果です。本当にありがとうございました。
思い返してみれば2020年の春、新型コロナウイルスが世界的に猛威を奮い始めました。さまざまな想いを抱えて迎えた新年度にマスク生活や外出自粛など、新生活により大きな不安を与えられました。日本では緊急事態宣言が出され、この第一学院も生徒の登校ができず、オンラインでの授業や交流を余儀なくされました。距離感がつかめず、電波に悩まされ、多くの学校行事が中止やオンライン開催になりました。楽しみにしていた高校生活は想像していたよりも寂しい始まりになりました。そんな中でも先生や先輩方は明るく、たくさん接してくださり、少しずつ学校に慣れ、友達もできていきました。
2年生になると新型コロナウイルスの感染対策も少しずつ緩和がされ始め、学校行事も行われるようになりました。中でも印象的だったのは、本校スクーリングです。行く前は、養父校までの長い移動時間や待ち構えるたくさんの授業を試練のように感じていました。しかしいざ始まってみると、バスの移動は友達とゲームをしたりたくさん話をし、4時間という長い時間があっという間でした。養父校に着くと、先生方が元気に出迎えてくださり、これからの授業が楽しみになりました。そして、他キャンパスの生徒と協力して体を動かした体育の卓球の授業、先生が学校探検をしてくださったり、校長先生とたくさんのお話ができた休憩時間。宿舎に行けば、元気なおばあちゃん、狭いけれどはしゃいだお風呂、文句を言い合ったご飯の時間、たくさん騒いだ自由時間。楽しく大きな思い出ができました。この期間で新しい友達がたくさんでき、絆を深めることができました。
学校が好きな私はこの3年間、学校に張り付き、行事があれば全て参加し、たくさんの人と話しました。でしゃばりすぎて返って負担になり、大変ご迷惑をかけたこともあったかと思います。そんな私の第一学院での高校生活は、楽しいだけではなく、私の精神安定剤でもありました。悲しいこと嫌になること、時にはいなくなってしまいたくなるようなこともありました。そんな時、皆さんがかけてくれる些細な言葉が私の生きる糧でした。私と接して、関わってくださった皆さんには、感謝をしてもしきれません。本当にありがとうございました。
私は「学校は第二の家だ」と言い張り、下校時間になっても動かなかったことが多々あり、先生方には大変ご迷惑をお掛けしました。そして、進路を決めるとき、やりたいことが頻繁に変わって行く私と逐一相談をしてくださり、ありがとうございました。おかげで、やりたいことを見つけて就職し、これから迎える日々がとても楽しみになりました。
そして、在校生の皆さん、先輩の私と年齢の差を感じさせないほどたくさん遊んでくれて、ありがとうございました。これから進路や生活面などで沢山の壁があると思います。不安や悩みがあるときは、躊躇せず、正直に、信頼する人に相談をしてください。自分が思っているよりも、大きな助けになってくれます。人を頼ることは簡単なことではありませんが、そのひと頑張りが気持ちを楽にしてくれます。さらに、これからは後輩が増えます。後輩はいつも先輩の背中を見て、日々の学校生活を送っていきます。一番の見本は、皆さん自身が楽しくあることです。礼儀正しくしたり、勉強しなきゃと思い込みすぎず、自分の将来のために、今の生活を充実させてください。
最後に、家族のみんな。あなたたちのとても自由な生き方が、私の大きなお手本になってくれました。その自由さで苦労することもありました。しかし、そんな苦労よりも大きな支えをしてくれました。手のかかるであろう私に18年付き合ってくれて、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。
みなさんと出会った、誰一人として欠かすことのできない第一学院。この在籍期間は、何にも変え難い、大切なものでした。思い出になってしまうことがとても寂しいです。しかし、この出会いをこれからも大切に、これから始まる新しい環境を支え合って楽しんで行けたら良いなと思います。また、今度みなさんと会った時、皆さんが笑顔で元気であることを心から願って、卒業生答辞とさせていただきます。
令和5年 3月10日
卒業生代表 竹本憲二郎