高校中退後の進路の一つ「通信制高校」

文部科学省の調査によると、2021年度の高校中退者数は38,928人。中退する主な理由としては、進路変更を希望するためが44.2%、学校生活に馴染めないためが30.5%を占めています。39,000人近い方が高校中退という道を歩んでいるわけですが、現実問題としてその後の進路はどうなってしまうのか、不安に思われる方は少なくありません。

そこで、ここでは高校を中退した際のデメリットや生じるリスクをお伝えしたうえで、高校中退後の選択肢の一つ「通信制高校」に入学するメリット、そして通信制高校にはどんなタイプの人が向いているのかをご紹介します。

通信制高校が生徒の将来に与えるデメリット

高校中退という選択は、人生に大きく影響する決断となることは間違いありません。中退に伴うデメリットやリスクも知っておくのはとても大切なことです。後悔しないように、進路を検討する材料として参考にしていただければと思います。

デメリット1 就職時の選択肢が狭まり収入が低くなる
最大のデメリットとしては、高校を中退すると最終学歴は「中卒」となり、十分な収入を確保できる仕事に就きにくくなることが挙げられます。働きたいと思っても、応募条件の学歴を高卒としている企業が多く、仕事への応募資格すらないという状況も起こり得るのです。実際に学歴別に年収を比較すると、高卒、短大卒、大卒と学歴が上がるごとに高くなり、さらに年齢を重ねるにつれて差が大きく開いていくことがわかっています(令和2年度 賃金構造基本統計調査より)。中卒の場合にはアルバイトや単発の日雇い労働など、不安定な道を歩む可能性が高いことがここからも示唆されています。将来家庭を持つことなどを考えると、やはり大きなリスクとなります。
デメリット2 進学や資格取得がしにくくなる
高校を中退したけれど、その後の人生を考えて、専門学校や大学への入学を目指したいと思うこともあるかもしれません。しかし、専門学校や大学についても、入学する条件として「高校卒業もしくは同等以上」としている学校が多く、学歴が支障となる場合があります。その場合は別の高校に入り直して高校卒業資格を取得するか、「高卒認定資格」という資格を取得するかのいずれかの方法を経て、受験に臨む必要性が出てきます。
デメリット3 在学していた高校の友人関係が疎遠になる可能性がある
高校を離れると、同級生や先生、その他学校という場所を通じて知り合う人との交流機会が少なくなってしまいます。また、授業や部活動、体育祭といった学校行事もなくなります。もちろん中退した後に自分から連絡を取ることは可能ですが、自分と相手はまったく異なる環境で生活をしていることになるので、その違いにかえってストレスを感じて、つらくなってしまう可能性もゼロではありません。

通信制高校が生徒の将来に与えるメリット

高校を中退してしまったら後悔することしかできないのかというと、決してそんなことはありません。高校を一度中退しても、高校卒業の資格を取得できるその後の選択肢の一つが、通信制高校への編入です。ここでは通信制高校への道を選ぶことが、将来に与えるメリットについてお伝えします。

メリット1 就職にプラスに働く
通信制高校とは、インターネットなどの通信教育を通じて自分のペースで、高校卒業を目指す高校になります。通信制高校は一般的な全日制の高校と同じように、卒業すれば最終学歴は「高校卒業」となるので、就職時の履歴書にも「高校卒業」と書くことができるようになります。就職の際の選択肢は大きく広がると考えてよいでしょう。
メリット2 進学や資格取得を後押しする
通信制高校で高校卒業資格が得られれば、就職以外の進路や、就職したその後の進路にも選択の幅が広がります。専門学校や大学を受験することができるようになり、高卒でなければ受けられなかった資格取得もできるようになります。通信制高校なら、スクーリングなどを通じて直接先生から指導を受ける機会もあります。就職のみならず、その後のキャリアをどう築いていくかも、適宜相談しながら自分のペースで考えて取り組むことができるのです。
メリット3 夢への挑戦を支える
そして通信制高校最大のメリットは、夢への挑戦をしっかりとサポートする体制が整っていることといえるでしょう。特色ある授業や体験学習が用意されており、全日制や定時制にはない「自由度」の高さで、自分のやりたいことに集中したい人に適した環境があります。入学にあたっても、学力的・時期的な制約は大きくありません。さまざまな状況やライフスタイルを持っている人が入学しています。また、将来に明確な夢を持つ皆さんを通信制高校は待っています。

通信制高校に向いているタイプ

最後に、通信制高校に向いているのはどのような人なのかをまとめました。入学を検討される際の参考にしてみてください。

学校に通うのが苦手なタイプ
体力的、精神的な理由によって、一般の生徒と同じペースで学校に通うことができない人でも、通信制高校ならできる範囲での通学スタイルが可能。自分のペースで学校に慣れていき、卒業を目指すことができます。また、スクーリングも合宿形式による短期集中型などさまざまなスタイルがあり、自分の性格やライフスタイルに合わせて学習することができます。
経済的に高校進学が厳しいタイプ
最新の通信制高校では、インターネット通信を利用したライブ授業やタブレット端末などを使っての添削レポート提出など、自由な時間をさらに伸ばす新しい授業スタイルが始まっています。忙しいフルタイムの仕事を持つ人でも、無理なく卒業まで学習することが可能です。
進学の勉強に集中したいタイプ
どちらかと言えば勉強が苦手な生徒が多い、そんなイメージで見られがちな通信制高校ですが、中には難関である国公立大や有名私大の受験勉強に重きを置きながら、高校卒業資格の取得を目指して通信制高校を選ぶ人がいます。まだまだ全日制ほどではありませんが、2021年度の通信制高校卒業生の大学進学率は約20.2%(令和4年度 文部科学省学校基本調査より)で、以前に比べてその割合は高くなっています。
特別な夢に挑戦したいタイプ
スポーツや芸能、タレントといった仕事を目指す人にとって、10代の高校時代から本気の挑戦が始まります。チームでの合宿練習や遠征、コンサートやステージは、学校の時間を待ってくれません。やりたいことに打ち込める環境がある通信制高校が、その夢を応援します。
一度諦めた高校卒業に再挑戦したいタイプ
全日制高校のような筆記を中心とした入学制度ばかりではなく、また入学時期も4月だけとは限らない場合もあり、高校中退した方や仕事を引退した高齢の方など、幅広い年齢や様々な状況の人たちが通信制高校に集まります。自分と同じ立場や境遇の仲間と出会えることも、通信制高校ならではのメリットの一つです。

以上、高校中退するデメリットやリスクと、その後の選択肢の一つである通信制高校についてご紹介しました。中退後の進路にお悩みの方は、通信制高校への進学を検討されてみてはいかがでしょうか。通信制高校についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

通信制高校について詳しく知りたい方はこちら